はじめに
最近、子宮内膜症に悩む女性が増えています。
この病気は100年以上前から知られていましたが、当時はその数も少なく
他の手術でお腹を開いた時に偶然見つかるといったものでした。
ところが近年、20才代から30才代といった比較的若い世代を中心に増加傾向に
あり、日本では20年前の4〜5倍と言われています。子宮内膜症という病名は
よく目にしますが、どんな病気かわかりにくい疾患です。
子宮内膜症とは
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはそれと類似する組織が、子宮内腔以外の部位に
発生し増殖する疾患で、月経時に普通はない所に存在する子宮内膜の部位でも
出血を起こし、種々の症状を引き起こす病気です。
| 内膜症の起こる場所と症状 |
| 子宮 |
子宮筋層内に子宮内膜が迷い込み、そこで毎月月経時に出血を来すため、
子宮がはれて、子宮腺筋症を形成します。 |
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| 卵巣 |
出血のため卵巣チョコレート嚢胞ができます。 |
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| 腹膜 |
出血のため癒着、硬結が生じ、ダグラス窩腹膜に起こると性交痛の原因となります。 |
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| 膣壁 |
月経時に膣壁からの出血をみます。 |
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| 膀胱 |
月経時に血尿 |
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| 大腸 |
月経時に血便 |
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| 肺 |
月経時に血痰、喀血 |
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| 脳 |
月経時に脳卒中 |
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| 皮膚 |
月経時に皮下出血、青あざ |
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産婦人科医が取り扱うのは、主に骨盤内に発生する骨盤子宮内膜症です。
骨盤内の子宮内膜症を進行期別にビーチャム分類を用いて示します。
第1期:子宮、卵巣などの表面に1〜2mmのブルーベリー様の病変。
第2期:ブルーベリー様の病変が増え、しこりとなる。
第3期:腹腔内の臓器の癒着が強くなり、卵巣が2倍以上に腫大し子宮が動かなくなる
第4期:癒着のため骨盤内臓器が一塊となり、個々の臓器が区別できなくなり、
凍結骨盤と呼ばれる。
症状と診断
[ 三大症状 ]
@月経困難症 月経時の腰痛・下腹痛
A月経時以外の痛み(骨盤痛)腰痛、下腹痛 性交痛、排便痛
B不妊症
内診で動かない後屈子宮、ダグラス窩硬結、癒着した卵巣腫瘍を認めますと、子宮内膜症が強く疑われ、これにエコー、MRI、CTの画像診断が加わると診断が確定します。
腫瘍マーカーであるCA125、CA19-9も補助診断や病状の判定に役立つことがあります
治療
[ 薬物療法 ]
・痛みを和らげる対症療法
→ インダシン、インテバンなどの鎮痛剤
・子宮内膜症の増殖を止めるホルモン療法
・閉経や妊娠すると子宮内膜症がよくなるので、この現象を利用した治療法
@偽閉経療法:半年間、鼻腔噴霧あるいは注射
A偽妊娠療法:卵胞ホルモン・黄体ホルモン
[ 手術療法 ]
・保存療法:子宮内膜症を軽減させ、妊娠しやすくする。
癒着剥離、卵巣チョコレート嚢胞摘除、子宮位置矯正術
・根治療法:子宮内膜症を完全に治す(痛みからの解放)。
子宮内膜症の病巣を含めて、子宮と両側の卵巣を摘出。
女性にとって卵巣をとられることは大きな悩みになるわけですが、なぜ卵巣を摘らなければならないのでしょうか。それは子宮以外の子宮内膜症の病変は完全に取り去ることはできないからなのです。残った卵巣で毎月排卵が起こり、卵巣ホルモンが分泌されると、腹腔内の残存子宮内膜症病変では出血が起こり、痛みなどの症状が出るため、痛みから解放されるためには卵巣をとらざるを得ないのです。
メッセージ
子宮内膜症は簡単には治すことの出来ない頑固な病気です。子宮内膜症が考えられる症状があれば、できるだけ早く産婦人科を受診し、子宮内膜症の有無を確認することが大切です。
子宮内膜症があれば、軽症のうちにホルモン療法を受け、重症にならないようにしなければなりません。
中等症以上であれば保存的手術も受け、良くなったところで妊娠するように努力します。妊娠は子宮内膜症を良くしますので好都合です。年令も考えながら、痛みが耐えられないものであれば、思い切って根治的手術療法を受けるべきかもしれません。現在の医学において、これが子宮内膜症の対応策と言えます。
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