吉田レディースクリニック

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不育症
  不育症 Q&A
  -流産の原因について-
  不育症の原因
  不育症の治療 Q&A
  原因不明の習慣流産例の治療について Q&A




不育症 Q&A


Q. 「不育症」はあまり聞いたことがないのですが、どんな病気なのですか?
A. 流産に関心のない方はまずご存知ないと思います。
妊娠はするが、流産・死産を繰り返し、元気な赤ちゃんが得られない状態を不育症といいます。

Q. 流産は何%くらいに起こるのでしょうか。
A. 一般に自然流産は全妊娠の10〜15%の割合で発生します。

Q. 流産についてご説明いただけませんか。
A. 流産は誰でも話したがりません。流産をあまり聞かなくても、7回の妊娠に1回流産が起こっているとしたら、そんなに珍しいことではないでしょう。


- 流産の原因について -

原因が受精卵、つまり胎児にある場合と母体にある場合があります。
流産の大部分は胎児の問題で発生しています。流産した胎児及び胎盤の染色体検査を行うと、60〜80%に染色体異常が認められます。また驚く事実があります。
受精時に胎児の40%近くに染色体異常があり、妊娠週数が進むにつれて流産して少なくなり、分娩時には0.6%となります。つまり、受精時に40%近くあった染色体異常の赤ちゃんはほとんどが流産というかたちで妊娠を終了します。これは自然の選択作用かもしれません。
流産は悲しい出来事ではありますが、不幸中の幸いかもしれません。

流産には母体に原因がある場合もあります。
母体要因がない女性は妊娠を繰り返すうちに出産に成功し、何らかの母体要因がある女性だけが残っていくために母体要因による流産が増えていくわけです。

流産した人が次の妊娠で生児を得る確率
流産の回数 生児を得る確率
1回      80%
2回      70%
3回      50%以下
3回流産した人から確率がぐんと下がっているのがわかります。


Q. 繰り返し流産するほど次の妊娠がうまくいかなくなるように思えたのですが?

A. その通りだと思います。
2回連続して流産した場合を反復流産、3回連続して流産した場合を習慣流産と定義しています。
自然流産率を15%とすると、反復流産の確率は2.25%(0.15×0.15)であり、
3回連続して流産する確率は0.34%(0.15×0.15×0.15)と計算されます。
しかし現実の習慣流産は計算よりも多い0.5〜3%の頻度で起こっています。
これは何らかの流産因子が関与していると考えざるを得ません。

Q. 不育症の原因になる病気にはどんなものがあるのでしょうか?
A. ここにお示しするのが不育症の原因疾患です。




不育症の原因



@子宮異常
 子宮奇形、子宮筋腫、頚管無力症、子宮腔癒着症など

A内分泌異常
 高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病

B免疫異常
 抗リン脂質抗体症候群、自己免疫疾患、同種免疫異常

C夫婦染色体異常
流産を繰り返される方はこれらの異常がないかのスクリーニング検査を受けることをお勧めします。
異常がみつかれば、その治療をすることになりますが、実際検査を進めていきますと、半数以上、施設によっては7割近くの方が、検査はすべて正常で、習慣流産の原因は不明ということになります。




不育症の治療 Q&A



Q. 不育症の治療についてお話いただけますか。
A. すべての原因疾患の治療を話すスペースはないので、抗リン脂質抗体症候群と原因不明例の対策についてお話したく思います。

Q. 抗リン脂質抗体症候群はどんな病気なのですか。
A. 抗リン脂質抗体症候群ではこの抗体ができると、血液が固まり、胎盤に血栓形成、血管梗塞が起こり、これにより胎盤機能不全を起こし、胎児が死亡し流産すると考えられています。
治療法は、低用量アスピリン療法、ヘパリン療法による血が固まりにくくする抗凝固療法です。
妊娠の極初期から分娩近くまでアスピリン、ヘパリンを投与して、胎盤血液循環を維持し妊娠の継続をはかります。抗凝固療法を分娩直前まですると、お産の時に出血が多くなるので、分娩前1〜2週間で治療を中止して赤ちゃんを注意深く観察します。帝王切開を予定している方では、手術の3〜4日前に治療を中止します。




原因不明の習慣流産例の治療について Q&A



妊娠中は免疫能が抑制された状態(免疫寛容状態)になります。習慣流産の患者さんではこれがうまく働いていないと考え、流産を夫の遺伝子に対する拒絶反応と考えるわけです。
そこで、臓器移植において、ドナーの血液をあらかじめ輸血しておくと生着率が上昇するという事実にヒントを得て、1981年にBeer, Taylorらによって始められたのが、夫リンパ球免疫療法です。夫の遺伝子に対する拒絶反応を抑えるために、奥さんに夫のリンパ球を数回にわたり皮下注射します。最初は拒絶反応が生じますが、次第に反応が弱くなり、妊娠と同じ免疫寛容状態となり、流産を防ぐことができます。

Q. 夫リンパ球免疫療法の具体的な方法について教えて下さい。
A. まずご主人から静脈血を採血し、比重遠心法でリンパ球を分離し、このリンパ球に放射線を照射して免疫学的副作用を防止した上で、妻の前腕内側の数カ所に皮下注射します。

Q. この治療はいつするのですか。また治療効果はどうなのでしょうか。
A. 妊娠前、妊娠後、その両方など施設によって異なります。
私がいままでにやった治療では、約90%の方に赤ちゃんができ、奇形児等の異常は見られませんでした。

Q. 夫リンパ球免疫療法に何か問題点はありませんか?
A. この治療法がなぜ効くかについてはまだ充分な説明ができていません。
私の経験からは有効で安全な治療であるという印象を受けていますが、国際的にも検討され、夫リンパ球免疫療法の安全性と有効性が不確かであるとして、アメリカでは当分の間これを行わないことにしました。
日本では治療対象を厳選し、輸血療法であることを再認識し、リンパ球に放射線照射を怠らないなどの指導を強めています。

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